リモートワーク時代のVPNを狙ったサイバー攻撃とその対策
はじめに
リモートワークが一般化した現代、企業のITインフラは大きく変化しました。その中でも、社内ネットワークへの安全なアクセス手段として「VPN(Virtual Private Network)」は欠かせない存在です。しかし、VPNは万能ではなく、サイバー攻撃の標的にもなりやすいという現実があります。
本記事では、VPNを中心にリモートワーク環境を狙った攻撃の手口と、それに対する具体的な対策について解説します。
VPNを狙った主な攻撃手法
1. 脆弱性の悪用(ゼロデイ攻撃含む)
VPN機器やソフトウェアには、しばしば深刻な脆弱性が発見されます。特にFortinet、Pulse Secure、CiscoなどのVPN製品は、過去に複数の重大な脆弱性が報告されており、攻撃者はこれらを利用してネットワークに侵入します。
2. 認証情報の窃取
フィッシングやマルウェアを使って、VPNのログイン情報(ID・パスワード)を盗み出す手口です。多くの企業がVPNにシングルサインオン(SSO)を導入しているため、1つの認証情報が複数のシステムへのアクセスを許してしまう危険性があります。
3. ブルートフォース攻撃
VPNのログイン画面に対して、総当たりでパスワードを試す攻撃です。特に多要素認証(MFA)が導入されていない環境では、成功率が高くなります。
4. セッションハイジャック
VPN接続中のセッション情報を盗み取り、正規ユーザーになりすましてアクセスする攻撃です。セッション管理が甘い場合に発生しやすくなります。
攻撃を防ぐための対策
1. VPN機器・ソフトの定期的なアップデート
脆弱性を突かれないためには、ベンダーが提供するセキュリティパッチを迅速に適用することが重要です。自動アップデート機能の活用や、脆弱性情報の定期的なチェックを習慣化しましょう。
2. 多要素認証(MFA)の導入
ID・パスワードだけでは不十分です。ワンタイムパスワード(OTP)や生体認証など、複数の認証要素を組み合わせることで、認証情報の漏洩リスクを大幅に軽減できます。
3. ゼロトラストセキュリティの導入
VPNに依存しすぎず、ユーザーやデバイスの信頼性を常に検証する「ゼロトラスト」モデルの導入が推奨されます。アクセス制御を細かく設定し、最小権限の原則を徹底しましょう。
4. ログ監視と異常検知
VPNの接続ログを常に監視し、不審なアクセス(深夜のログイン、海外IPからの接続など)を検知できる体制を整えることが重要です。SIEMやEDRなどの導入も効果的です。
まとめ
VPNはリモートワークにおける重要なセキュリティ基盤ですが、攻撃者にとっても魅力的な標的です。技術的な対策だけでなく、社員へのセキュリティ教育や運用体制の見直しも含めて、総合的なセキュリティ対策が求められます。
また、クラウドストレージサービス(Boxなど)を活用することでVPNを組まずとも、社外からファイルの共有や共有フォルダの確認が可能となります。
ファイルサーバーやNASからクラウドストレージへの移管なども対応可能ですのでお気軽にご相談ください。